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●寡婦殉死 かふじゅんし

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 サティー(suttee)という。ヒンドゥー教徒のあいだに近世まで行われていたこの風習の原語はsatiで,「真実」を意味する。元来satiはシヴァ神妃の1人の名で,彼女は夫と実父の不仲に悩み,祭式の火中に身を投じて死んだという。この風習の始まった時期は不明だが,文献的には西暦前の叙事詩に自発的に夫に殉ずる貞節な妻への言及がある。以降,これを非難する文献もあるが,しだいに一つの社会習慣となったらしい。最初は武士階級のあいだに行われたが,のちには一般庶民にもひろまった。近世になっても,1815〜28年の13年間に,ベンガル地方で5,100件,ベナレス地方で1,100件の事例が報告されている。イギリス政府は1829年に法律をもってこれを禁止した。この風習の背景には死者に自らの財産をもたせる,家や村の社会的体面,悲惨な寡婦生活よりは死を選ぶ,後に残されたものの負担を軽くするなど,さまざまな理由が複合していたと考えられている。