●カデシュ
アジア シリア・アラブ共和国 AD
シリアのオロンテス川沿いにある町の名前。前1285年このカデシュにおいて,エジプト第19王朝のラムセス2世の軍勢と,ヒッタイト王国のムワッタリッシュ王の軍勢が衝突し,壮絶な戦車戦を演じたことで知られる。この戦いはその後,アブ=シンベル神殿やルクソール・カルナックなど各地の神殿の壁画に壮大な戦勝記録として残されたので,古代の戦争の詳細を知ることができる。ただし,この戦いに関する限りはラムセス2世の勝利といいがたい。戦後はヒッタイト系の勢力がカデシュ一帯をおさえたし,ラムセス2世は再度遠征軍を送っているからである。シリアの地を支配することは,当時から陸上の交易路をおさえ莫大な利益を得ることにつながっていたため,ミタンニ,エジプト第18王朝,それにヒッタイトのそれぞれの狙いとした所であった。エジプト・ヒッタイト両国は,前1268年,平和協定を締結し友好関係を樹立し,その抗争を終えた。