●風邪 かぜ
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流行性感冒と名づけられたのは,1890年(明治23)である。古くから記録があり,862年(貞観4)冬,京都にはやった風邪は咳逆と記されている(肺炎説もある)。『源氏物語』にはシハブキヤミ,『伊呂波字類抄』にはガイビョウとある。民間では,ガイキ・ハヤリカゼの称が広い。カゼは病気を意味する語であったから,下痢をハラカゼ(高知県),爪の間の剥離をツメカゼ(福島県),ジフテリヤをヒフカゼ(福島県)などと呼んでいる。これに対し出雲では,風邪をマカゼといった。風邪は疫病神とみて,千葉県ではカゼノカミという。風邪が寄りつかないように,杓子に〈咳大安売〉と書いて道の辻に立て(岡山県)たり,またトリカゼの百日咳を治すのに,トリカゼ稲荷へ絵馬を上げ(福島県)たりした。風邪の名称で社会の出来事と関連するものは多く,谷風は1786年(天明6)力士谷風が風邪をひいたために命名されたもの。琉球風,1842年(天保13)琉球人来朝のときに,流行したためにつけられた名称である。