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●春日権現霊験記 かすがごんげんれいげんき

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 略して『春日験記』とも呼ばれる春日明神の御利益を描いた鎌倉時代の絵巻物。もと春日神社の所蔵であったが,皇室に献上されて,いまは御物となっている。全20巻の完全そろいで,別巻の目録によって製作の由来や筆者が判明している。それによると,1309年(延慶2)3月に左大臣西園寺公衡(きんひら)が敬神の志をもって氏神である春日明神に奉納したもので,詞書は覚円法印が慈信と範憲に相談して起草し,書は公衡と同じ藤原一門の鷹司基忠と3人の子,摂政冬平・権大納言冬基・良信僧正が書き,絵は絵所預の高階隆兼(たかしなたかかね)の作であるという。絹本着色の絵で,幅は41.2cmあり,『北野天神縁起』の51.52cmにつぐ大作である。隆兼が宮廷画家であるだけに,画は謹厳で彩色も濃厚華麗であるが,春日神社の光景が繰り返され,表現も類型的でやや硬いのがおしまれる。しかし鎌倉末期の絵巻物を代表する力作である。