●家具 かぐ
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箪笥や机など家のなかにおいて生活するために使う道具のこと。ただし家具の範囲をどこまでにするかという点は必ずしも一定していない。ふつうは椅子・机や箪笥などを家具というが,その他炉や造りつけの戸棚などもあるし,照明器具のようなものもある。と同時に時代によっても家具の範疇が変わってくる。たとえば現在では畳や襖・障子は家具とはみなされないが,古代にはこれらも家具であった。建築様式が変化した結果,畳は床材となり,襖・障子も建具となったのである。また盆なども近代になって食卓やテーブルが使われるようになったため,食膳としての役割を退いたが,それまでは食事用の台としてれっきとした家具だったわけである。そこでここでは歴史的な変遷も含める意味で,家具の範囲を広くとって,種類別に簡単に説明する。【屏障具】人目や風をさえぎったり,空間を仕切ったりするものである。西洋の建築が壁で構成されているのに対し,日本の建築は柱で構成されているものであるため,間仕切用の家具が古くから発達している。
古代:簾・御簾・壁代(カーテンのようなもの)・幔幕・軟障(ぜんじよう,幔幕のようなもの)・幌(とばり・出入口にかけるもの,後世の暖簾)パーレン・屏風・衝立・障子(襖)・帳台(帳で囲み,天井に明障子をのせた組立式の寝台)
中世〜近世:簾・御簾・幔幕・暖廉・屏風・衛立
近代:カーテン・ブラインド
【鋪設・座臥具】敷きものと寝たり座ったりするためのものであるが,古くは一つのものが両方に使われていた。
古代:莚・薦・畳(以上は寝具にも敷物にも使われた)・絨毯・毛氈・茵(しとね)・牀(寝台)・床子(上にのって座る台)・胡床(腰掛・椅子・交椅)・椅子(高欄付で上に座るもの)・兀子(ごっし)(木製4本足腰掛)・草とん(スツール)・藁とん(藁製スツール)・円座(円形の座布団,藁製のものはわらふだ)・凭几(ひょうき・肘つき)
中世〜近世:座布団・床几・寄懸・脇息・縁台・陶とん
近代:洋風椅子・スツール・ベッド・カーペット
【収納具】ものを収納したり整理したりするためのものである。目的に応じて種類が多い。
古代〜中世:籠・葛籠・箱・櫃(和櫃・唐櫃)・厨子・厨子棚・棚・袋・笈(おい)。
近世:箪笥・長持・戸棚・押入れ・広蓋・挟箱・帳箱・茶箪笥・水屋・行李・葛籠(つづら)。
【照明・暖房具】室内外を照明し,暖房するためのものであるが,原始時代には一つの炉の火で照明・暖房,さらに炊事を行っていた。文明が進むに従って分化していったものである。
古代〜中世:燈台・燈籠(釣・置)・脂燭(しそく)・紙燭(しそく)・燈台・火桶・火櫃・炭桶・炭櫃・熨斗(のし・柄付の鉄容器に炭火を入れて,寝る前に寝床をなでて暖めるもの)
近世:短檠(たんけい)・蝋燭・燭台・掛燭・手燭・行燈・ぼんぼり・提燈・火鉢・こたつ・行火(あんか)・湯湯婆(ゆたんぽ)・懐炉
近代:石油ランプ・ガス燈・電燈・ストーブ
【厨房・供膳具】炊事用および食事のためのものである。
古代〜中世:炉・囲炉裏・鉤・竈・火炉(置炉)・流し・かめ・つぼ・桶・樽・俎・臼・高杯・机・折敷(おしき)・衝重(ついかさね)・三方(さんぼう)・供饗(くぎょう)・盤・懸盤・台盤・行器(ほかい)・中取・棚
近世〜近代:飯台・茶袱台(ちゃぶだい)・膳・戸棚・膳棚・水屋・蝿帳・茶箪笥・盆
近代:ガスコンロ・ガス竈・立流し・ガス台・調理台・テーブル・サイドボード
【容飾・沐浴具】結髪・化粧用および沐浴用の家具である。
古代:円鏡・鏡架・櫛笥・唐櫛笥(からくしげ)・掻上箱(かかげのはこ)・盥・水瓶・湯槽
中世〜近世:柄鏡・鏡台・手箱・櫛台・角盥(つのだらい)・風呂桶
【文房具】文房や趣味用の家具。収納用と台類がある。
古代〜中世:机・出文机(だしふづくえ)・文台・書櫃・笈・厨子・文車(ふぐるま)・文匣(ふんこう)・草紙箱・草子挾・硯箱
近世:書物箪笥・倹飩式本箱・書棚・見台・花台・卓
【その他】このほか衣桁・梯子・脚踏(きゃたつ)なども古くから使われている。
〔参考文献〕宮本馨太郎『民具入門』1969,慶友社