●燕子花図屏風 かきつばたずびょうぶ
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根津美術館にある6曲1双の屏風で,尾形光琳(おがたこうりん)の代表作。これは『伊勢物語』の,あずま下りの一行が三河国八橋という所にたどりついて,美しく咲く燕子花をみ,かきつばたの5字をよみこんだ歌をつくって都をしのんだという話を描いたものである。同じ題材を扱った光琳の団扇や他の屏風には,八橋と燕子花が描かれているのに,この屏風では縦151.2cm,横358.4cmという大画面に燕子花だけを描いている。燕子花は,金地に没骨(もっこつ)描法で大柄に描き,花を群青(ぐんじょう),葉や茎を緑青(ろくしょう)で濃厚に彩色している。彩色の華やかさは,律動的な画面構成とあいまって,この絵を成功させている。家業だった呉服の文様に親しみ,そのうえに古典研究と写生による自然観照を加えることによって,この作品は生まれえたのである。〈法橋光琳〉と署名しているので,法橋になった1701年(元禄14)以後の作である。