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●科学的社会主義 かがくてきしゃかいしゅぎ

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 マルクスの盟友,エンゲルス(1820〜95)の命名による共産主義の別名。マルクス・エンゲルス『共産党宣言』(1848)は,科学的社会主義を定式化して簡潔に示したものである。エンゲルスは自著『反デューリング論』において,〈二つの偉大な発見により,社会主義は科学となった〉と述べた。二つの発見とは,唯物史観と剰余価値論とをさすが,人間の意識は特定の生産関係(生産手段の所有,制度を中核とする諸関係)に規定され,生産関係は発展とともに自己の内部に自己否定的な他の生産関係を用意し,それにとって代わられる運命にある(唯物史観)。労働者の「搾取」によって資本蓄積(剰余価値)される資本家的生産関係は,その内部にブルジョワジー(近代的資本家階級)とプロレタリアート(無産・賃労働者階級)とのあいだの階級闘争の激化を用意し,必ず共産主義に道を譲る歴史的運命にあり,資本主義が共産主義にとって代わられるのは歴史的必然(性)であるとした点で,この社会主義思想は,イギリスのオーエン派,フランスのフーリエ派の社会主義その他,「資本家と利潤とを少しも傷つけず」,プロレタリア革命抜きで,社会主義を唱える空想から科学へ高められたとした。

 科学的社会主義の特徴は,したがって,プロレタリアートによるブルジョワ国家の権力奪取ならびにブルジョワ資本の収奪を社会主義社会建設の不可欠の手段としていることにある。赤色革命論とも呼ばれている。赤色革命は,客観的に見れば必然であるが,ブルジョワジーが自ら社会主義的変革をさし出すわけではない。プロレタリアートが,科学的社会主義の旗のもとに結集し血を流す覚悟で支配勢力と闘うことが必要であるとした。『共産党宣言』は,〈すべてこれまでの社会の歴史は階級闘争の歴史である〉で冒頭が飾られ,〈万国のプロレタリア団結せよ!〉で結ばれている。

 社会主義革命の山のかなたの共産主義社会では,「あらゆる人の欲望を満すだけの生産」,「搾取」がなくなり,「階級と階級対立とがいっさいなくなる」したがって「国家も消滅する」が約束され,まさにユートピア社会というべき社会が展望される,としている。

 科学的社会主義は,マルクスの予言に反し,資本主義の最も末成熟なロシアでのボリシェビキ革命(1917)で最初の結実をみるが,〈あらゆる国家は,マルクス氏によって考案された自称人民国家といえども,本質的に上から下への知識人,つまり人民自身よりも人民の真の利益をよりよく知ると自称する特権的少数者による大衆の支配以外のなにものでもない〉とは当時のバクーニン(1814〜76)の鋭い批判である。

〔参考文献〕マルクス・エンゲルス,マルクス=レーニン主義研究所訳『共産党宣言−共産主義の原理』1978,大月書店