●カカオ
AD
カカオは茶・コーヒーと並び世界で重要な嗜好品のココアやチョコレート原料を供給する熱帯作物で,ココアともいう。南米の熱帯雨林中に自生していた樹高4〜10mの半高木で,ラグビーボール状の紡錘形の果実(長さ10〜30cm,直径5〜10cm)をつけ,果実中に20〜60個の種子が入っている。この種子をココア豆といい,醗酵乾燥させ,ココア飲料やチョコレートの原料とする。嗜好料に重要なアルカロイドとしてテオブロミンを約4%含む。現在の主産地は象牙海岸・ガーナ・ナイジェリアなどの西アフリカおよびブラジルで,世界産額(約160万t)の6割を生産する。中央アメリカではマヤ族やアステカ族が2000年以上前から栽培していたことが知られており,インディオはカカオを神から授かった食物と考えていた。大変な貴重品で,カカオ豆100粒で奴隷一人を買うことができたという。当時は,炒ったカカオ豆をトウモロコシおよびトウガラシと一緒にひいて飲んでいた。1502年コロンブスがカカオ豆を入手し,以後西インド諸島をへて世界各地に栽培が広まった。スペイン人は炒ったカカオ豆を粉にし,砂糖とバニラを混ぜて飲むことを工夫した。この習慣はイタリア,フランスをへて,17世紀初頭にはヨーロッパ主要地域に広まった。1828年オランダ人がカカオ豆の多量の脂肪を除く技術を確立し,味と消化のよい飲物となった。砂糖と香料を加えチョコレートにする方法も考案され,ついで1876年スイスでミルクを加えたミルクチョコレートの製法が創案されて,これがチョコレートの主流となり現在にいたっている。
![]()