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●海氷上狩猟 かいひょうじょうしゅりょう

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 極北の狩猟民エスキモーが発明した厳冬期の海獣捕獲法。長い冬のあいだ,1日中太陽の姿をみない高緯度地帯に適応して生活するには,海を厚く覆う海氷の下にいる海獣,主としてアザラシを捕獲することがきわめて重要である。彼らが捕獲の対象とするアザラシは8種類にのぼり,その多くは春から夏にかけて開けた海上で,カヤックから銛を投げてしとめる。しかし,冬も北極海に定着し,海氷下に生息をつづけるワモンアザラシ,アゴヒゲアザラシなどを捕えることができなければ,彼らは夏に貯えた食糧だけに依存して暮らさねばならない。冬の北極海に生息するアザラシは,海氷の底面にいくつかの円錐伏の穴をあけ,ときどき浮上して呼吸してはまた海中にもぐる。そのわずかな時間を利用して,海氷上の息穴のそばに銛を手にして待ち,穴から銛をうちこむ狩猟法は,まさに“エスキモーの忍耐心”を必要とする根気のいる仕事である。雪がつもった海氷上を歩き回って息穴を探すことから,銛をうちこんだ獲物をひき上げるまで,氷海の地理的環境やアザラシの習性についての詳細な知識と,狩猟の経験がなければできない作業がつづく。カナダのハドソン湾周辺や,グリーンランドの高緯度極北地域では,息穴猟でアザラシをしとめた狩猟者を初めて一人前の男として遇する習慣があった。この地域にエスキモーが進出できたのは,氷海上狩猟の技術を体得したおかげだったといえよう。