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●海潮音 かいちょうおん

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 訳詩集,訳者上田敏。1905年(明治38)本郷書院刊。イタリア・イギリス・ドイツ・プロヴァンスの詩人29人の詩57編の訳詩を収める。1902年から1905年(明治35〜38)にかけて各種雑誌に発表されたものを,発表順ではなく,西洋の詩の新声を独自の形で伝えようという自負のもとに構成されている。和歌の勅撰集が『古今集』以来「春の歌」から始まるように,巻頭は,ヨーロッパ精神の「春」を象徴するルネサンス的な春の喜びの歌を置く。『燕の歌』は,詩人ダヌンツイオの戯曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』の一節で,劇そのものは悲劇なのだが,そのなかから春の喜びの歌を採った。以下,軽やかな調べから,重々しい高踏派の象徴詩に移る。そしてまた抒情小曲の点景があって,再び重々しい調べに移るといったような,交響楽的な構成が意識されている。最後の詩『海光』は叙事詩の一節から採っているが,締めくくりは明るい地中海のギリシア幻想の詩である。