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●オーロラ

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 地球大気圏外から超高層大気中に入射する荷電粒子などのエネルギーによって励起した超高層大気粒子の発光をオーロラと呼ぶ。大きく分けると,極冠地域に現れる薄いぼんやりした極冠グローオーロラ,激しい磁気嵐に際して中緯度地域に現れる深紅の中緯度オーロラ,いつも極光帯で見られる青緑色の極光帯オーロラの三つに分類される。ふつう,オーロラといえば,極光帯のオーロラをさすと考えてよい。

ローマ神話のオーロラ】オーロラとは,もともとはローマ神話のなかで,夜の星々を空から追い払って暁を告げる女神の名前で,太陽神アポロン,月の女神ディアナの妹である。ヨーロッパで時折北の地平線近くに見られるオーロラが,夜明けの明るみに似ているところから,「北方の夜明け」の意味で「オーロラ=ボレアリス(AURORA BOREALlS)」と呼ばれるようになったのは17世紀のガサンディの著作『物理学』(1621)以後のこととされている。これに対して,観測者よりも南側に見られたオーロラは「オーロラ=オーストラリス(南の夜明け)」と呼ばれた。現在では「オーロラ=ボレアリス」は北半球のオーロラを,「オーロラ=オーストラリス」は南半球のオーロラをさす。

【歴史上のオーロラ】オーロラは顕著な夜空の光であるために,古代ローマや古代中国の古い文献に多くの記録が残されている。たとえばローマの哲人セネカが著した『自然の謎』には,ローマの南にあるオスミウムの街が真っ赤に染まって,火事と間違えた消防夫がかけつけたという記事が載っている。『日本書紀』巻22にある。〈推古天皇28年(620年12月30日)。天に赤気あり。長さ一丈余り。形,雉の尾に似る〉もまた,同種の赤い中違度オーロラの記述にほかならない。古代中国の国立天文台での記録には『漢書』天文志の,前32年10月24日〈流星あり。色白く,光り地を照らす。……動揺し,竜の如く蛇行す〉など,極光帯オーロラと思われるものの記述も多数含まれている。地磁気の永年変化のために,その当時は地磁気の北極が中国寄りに傾いていて,中国での地磁気緯度が今よりずっと高く,極光帯型のオーロラが現れ易かったものと考えられている。

【オーロラについての伝承】深夜に現れて大空を乱舞する光の不思議さのゆえに,オーロラに関するいい伝えには超自然の趣が色濃く宿っている。ハドソン湾口のカナダエスキモーのいい伝えでは,オーロラは,死者の魂を楽園に導くたいまつの灯で,人が死ぬとオーロラが現れるのだという。中国の天文志でも同じように戦争に負けたり,王様が死んだりする不吉の前兆とされている場合が多い。中世ヨーロッパでも〈天が火と血で染められた。神はなぜ我らを恐れさせ給うのか。神よ我らを救い給え〉といった記述が多い。

【オーロラの物理】オーロラの光は励起した超高層大気の酸素分子・原子,窒素分子・原子,それらのイオンの発する光で,発光の高さは地上約100〜150kmで最も明るく,高いものでは高さ1,000kmに達するものもある。色は,酸素原子の発する赤・緑,窒素分子イオンの青,窒素分子の赤あるいはピンクなどで,これらがまじって青緑色やマゼンタ・黄色なども見られる。大気圏外から入射する電子や陽子(主として電子)の運動エネルギーが超高層大気を発光させるエネルギーのもとであり,また,これらの粒子は地球のもつ磁場の磁力線に導かれて入射するために,地球周辺での粒子と磁場の分布によって地球上のどこでオーロラがよく現れるかが決まっている。これが極光帯と呼ばれる領域で,北半球では,アラスカ・カナダ中央部・アイスランド・グリーンランド南端・スカンジナビヤ北部からシベリア海岸のやや北あたりを通る楕円形の領域である。南半球にも同様に極光帯が存在し,昭和基地はちょうど極光帯に位置する。入射してくる電子や陽子は数百電子ボルトから数十キロ電子ボルトのエネルギーをもっているが,その加速機構はまだよくわかっていない。

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