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●オルフェウス

ヨーロッパ ギリシャ共和国 AD 

 古代ギリシアの伝説的な音楽家・詩人。トラキアの王オイアグロスの子とも,アポロンとカリオペのあいだの子ともいわれる。彼の音楽には鳥獣・樹木・風も感動したと伝えられている。のちには民衆から尊敬されて,トラキアで最も有力な王となった。彼は,妻エウリディケが死ぬと,彼女を現世に連れ戻すために冥界に赴き,音楽の力でハイデスを感動させて,死の世界から出るまでは振り返って彼女を見ないという約束で連れ帰ろうとしたが,この世に出ようとする瞬間に約束を破ったので,永遠に妻を失った。悲しみのあまりに,彼は慕い寄るディオニュソスの女信者たちを侮辱したために殺されたが,ムーサイ(学問・芸術の女神たち)が切れ切れになった彼の屍を集めて葬ったとも,彼の頭が堅琴と一緒にレスボス島に漂着したので,ムーサイが堅琴を空に投げて星にしたとも伝えられている。このようにオルフェウスは音楽・芸術と深い関係があるが,密儀的宗教オルフェウス教は,彼が神霊の啓示によって創始した,といわれる。その教説は霊魂と肉体を切り離し,霊魂が人間の本質である,と論じた。身分や社会的地位にかかわりなく,奴隷をも救済の対象にしたので,前6世紀にはアテナイを中心としてギリシア各地に伝播した。