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●男衾三郎絵詞 おぶすまさぶろうえことば

アジア 日本 AD 

 紙本着色,全1巻の絵巻。縦約29cm,横約13m,詞書6段,絵も6段仕立てである。筆法は軽妙洒脱で家屋の描法も吹抜屋台式であり,人物・樹木・風景などの描法も典型的な鎌倉期のもので稚拙な部分もあるが,それがこの絵巻に活気をもたらしている。全体の画風・筆法が,1295年(永仁3)作と推定されている伝藤原(土佐)隆相筆の『伊勢新名所歌合絵巻』と,近似しているところから,この絵巻の年代もそのころとされ,筆者も同一人とされている。この絵巻の内容は武蔵国の住人男衾三郎という武芸一点張りの勇猛な典型的東国武士と,その兄吉見二郎という風流華奢な京かぶれの男とを対照させ,その両者の末路を対比しようとした物語である。大番勤めのため兄弟相前後して出発,兄は山賊に殺害され,弟は帰郷後その母子を虐待,また観音祈願で授かった兄の娘の可憐物語など,京対東国・無神論対観音信仰を盛り込んだ珍しい教訓的風俗絵巻である。