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●姥捨 おばすて

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 老齢になった親を子が山へ捨てた話,あるいは捨てようとした話は,全国で聞かれる。昔話の一例では,殿様が老人を山に捨てるように命令するが,ある息子は親を捨てずに隠す。その後,敵国から曲がった穴のある玉に糸を通せという難題をもちかけられるが,誰も解けない。しかし,息子は親に教えられ,玉の一方の穴に蜜をぬり,もう一方の穴から糸を付けたアリを入れ,糸を通すことに成功する。そこで,殿様は老人を捨てる命令を撤回する。この例のように,以後老人を捨てないようにしたという教訓的な形で終わるのが,昔話では通例である。一方,伝説では,昔は実際に親を山に捨てる風習があったとして,具体的な山の名前をあげて話されることが多い。しかし,日本に棄老習俗があったという証拠はない。人間の霊魂は死後山に行くという信仰,山には山姥という老女の姿の妖怪が住むという考えなどが結び付いて,これらの伝説になったのであろう。