50音順    検 索

●尾上菊五郎(5世) おのえきくごろう

アジア 日本 AD1844 江戸時代

 1844〜1903(弘化1〜明治36)3世菊五郎の女婿12世市村羽左衛門の子。市村竹松・九郎右衛門・13世市村羽左衛門・家橘をへて,1868年(明治1)5世菊五郎を襲名した。幕末期は市村座の座元をもつとめた。14歳のとき,「鼠小僧」の蜆売りで好演し,1862年,19歳のとき,河竹黙阿弥作の「弁天小僧」が好評で出世芸となった。明治劇壇で9世市川団十郎とともに,団・菊,また初世市川を加えて,団・菊・左と称せられ,この期の代表的俳優として活躍した。時代物・世話物・舞踊によく,立役・女方を兼ねたが,特技はその写実的な世話物演技にあり,また怪談狂言では祖父譲りの芸を伝えた。当り芸は,名古屋山三・実盛・仁木・勘平・髪結新三・直侍・魚屋宗五郎・筆屋幸兵衛・塩原多助・加賀鳶の梅吉・道玄・お岩など。舞踊では,市川家の歌舞伎十八番に対抗して,新古演劇十種を制定した。うち戻橋・土蜘蛛・茨木はその代表芸である。彼の演出は6世尾上梅幸・6世尾上菊五郎・15世市村羽左衛門に伝えられ,大正・昭和の歌舞伎に大きな影響を与えた。

〔参考文献〕伊原敏郎『明治演劇史』

伊坂梅雪『5世尾上菊五郎自伝』