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●オーストロネシア語族 オーストロネシアごぞく

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太平洋に散在する多くの島々で使用されている諸言語で南島語族の意。マライ-ポリネシア語族ともいう。この語族に属す言語は、東はイースター島から東南アジアの島嶼群(インドネシア、マレーシア、台湾、フィリピンなど)を経て西はマダガスカル島まで、北はハワイ諸島から南はニュージーランドにいたる広大な地域に分布し、その数は800〜1,000にのぼると推定されている。ただし、オーストラリア全域と、ニューギニアのほとんどの地域やハルマヘラ島の一部の地域などの言語は含まれない。 現在では様々な言語に分化しているオーストロネシア語群もかつては単一の言語であったと考えられ、仮説的に再構成されている。これを、原始オーストロネシア語またはオーストロネシア祖語という。オーストロネシア祖語を話していた人々の故郷は東南アジアあるいは中国南部と推定されているが、そこからどのように島嶼部各地にひろがっていったかということになるといろいろな意見がある。最近ではオーストロネシア語族は大陸からまず台湾に移って、そこから各地へひろまっていったとする台湾経由説が有力視されている。オーストロネシア祖語は後に地方差を生じて多くの言語に分化したが、この相違の程度に応じていくつかの群に分けることができる。従来、ほぼ地域に沿って、[1]インドネシア語派、[2]メラネシア語派、[3]ポリネシア語派の三つの語群に分類されてきた。しかし、近年の研究によって、オーストロネシア語族の下位分類の考え方は大きく変わってきている。

 ポリネシア諸語が、メラネシア地域で多様に分化した言語群の一つの分派であることが明らかにされたために、オーストロネシア語族は、インドネシア以西の西オーストロネシア諸語と、ニューギニア以東の東オーストロネシア諸語の二つの大きなグループに分かれると考えられるようになった。けれども、単一のグループを形成し、東オーストロネシア諸語(オセアニア諸語)と対立すると考えられた西オーストロネシア諸語は、研究が進むにつれて、事情はもっと複雑であることが明らかになってきた。まず、これまで西オーストロネシア諸語に帰属すると考えられてきた台湾諸語(アタヤル語アミ語パイアン語など)が、オーストロネシア語族の3番目の独立した分派を形成するという説が唱えられ、さらには、台湾諸語は第一次的な分派であって、オーストロネシア祖語はまず台湾諸語と東および西オーストロネシア語を合わせた一つの大きな分派とに分かれたという見解も出されている。さらに、スラウェシやモルッカ諸島などの東インドネシアの諸言語の系統について様々な意見が出され、その帰属に関してはまだ定説がない。ここで、現在一般的に受け入れられているオーストロネシア語族の分類を示すと図のようになる。

 ヘスペロネシア諸語(西島諸語)は西インドネシア語群と北西(フィリピン)語群とに大きく分かれる。前者には、マレー半島、スマトラ、ジャワ、南ボルネオなどの言語が含まれ、後者にはフィリピン、北ボルネオ、北スラウェシなどの言語が含まれる。オセアニア諸語はメラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの多くの島々の言語である。ただし、ニューギニアのほとんどの地域ではオーストロネシア諸語とは別系統のパプア諸語が使用されている。また、地理的にはミクロネシアに属するマリアナ諸島のチャモロ語パラオ諸島のパラオ語はオセアニア系ではなく、ヘスペロネシア系の言語である。原始オセアニア語は、かつてニューギニア東海岸とビスマーク諸島を含む地域で話されていたが、そこから人々が太平洋の島々に散らばって移り住むようになり、現在見られるような多様な諸言語に分化したと見られている。

〔参考文献〕杉田洋「オーストロネシア諸語」北村甫編『世界の言語』1981、大修館書店

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