50音順    検 索

●和尚と小僧 おしょうとこぞう

アジア 日本 AD 

 寺の小僧が和尚をその機智をもってやりこめるという笑話群。現在,民間に広く伝承されているが,文献の初出は鎌倉時代末期の『沙石集』『雑談集』(ともに無住法師作)にまで遡れる。たとえば『沙石集』には現在も伝えられている「飴は毒」など7話が,『雑談集』にはともに現行の「卵は白茄子」「鮎は剃刀」の2話が収められている。「和尚と小僧」の発生について柳田国男は,神童譚よりの分化であり,最初はこの類の夙慧譚の成長したものだが,やがて笑話化したものと考えた。ただし『沙石集』『雑談集』では話はすでに,食物をめぐる葛藤を主題として,十分に笑話風に展開している。文献では,ほかに『駿牛絵詞』,紙背説話断簡(15世紀)や『醒睡笑』(17世紀・安楽庵策伝作)などにみられる。海外との比較では朝鮮の『傭斎叢話』(15世紀)に類話がみられ,また最近ではベトナムの事例報告がある。伝承の背景には寺院生活に対する人々の観察眼が働いていたものと思われる。