●沖着物 おきぎもの
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“沖着物”とか“浜着”とは,漁民が着装する労働着の総称である。労働着は,日常生活で着用する着物の“古着”を用いることが多い。しかし,自然を相手に暮らす漁民は風雨にさらされることが多いため,それなりの労働着を伝統的に着用してきた。その代表的なものが“刺子”と呼ばれる仕事着で,何枚かの布をかさねて,補強をしながら縫い合せ,夜間,沖合の漁労に際して防寒具になったり,雨天の場合の合羽がわりにもなるなど,暮らしのあらゆる場面で着用されてきた。この“刺子”の仕事着は三重県の伊勢・志摩地方では“ドンサ”と呼ばれ,神奈川県三浦三崎では“ボッタ”と呼ばれる。また石川県輪島市の海士町では“サシコ”とか,“百枚ボット”とかの名称で呼ばれている。このように全国各地でそれぞれの名称をもっているが,“百枚ボット”の名は,百枚もの布をつぎあわせて補強しながら縫い合わせたボッタという意味で,労働着の性格をよく表現している。