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●王実甫 おうじっぼ

アジア 中華人民共和国 AD 

 生没年不詳。中国,元代の劇作家。大都(北京)の人。13〜14世紀にかけて劇作がたくみなことで名声を得た。作品は約14曲あり,一番知られているものは『西廂記(せいそうき)』。この作品は,4幕完結を原則としていた元の戯曲としては長編で,5部21幕の構成になっている。唐代(9世紀)の文語小説『鶯鶯伝(おうおうでん)』(別名『会真記』)が民間に語り物としてひろがり,変形して金代(12世紀末)に董解元(とうかいげん)の『諸宮調西廂記』に結実した。王実甫は,それをもとに戯曲に仕立てた。内容は恋愛物語で,山西省の有名な寺院巡りをしていた旅の書生がいまはなき宰相の娘,鶯鶯を見染め,彼女の侍女紅娘の同情と協力を得て,幾多の困難にあいながら,その恋を成就させる話。封建的礼教に抗し,人間性を回復するこの作品はみごとな文語と口語の調和でも高く評価され,中国の戯曲史の傑作の一つに数えられている。彼のほかの作品としては『麗春堂』などがある。