●エンペドクレス
BC493
前493ごろ〜前433ごろ シシリー島のアクラガス(アグリゲントゥム)の人。アクラガスの僣主制から民主制への変革に際しては,民主派の指導者であった。弁論家・医者でもあり,自然学者でもあった(空気が物体であることを知っていたし,心臓に流れ込んだ血が,そこからまた流れ出ることを知っていた)。呪術的能力をもち,宗教家でもあった。パルメニデスから学んだといわれるし,ピタゴラス派の影響も受けている。彼はいわゆる四元素説を説く。“元素”という語は彼のものではない。リゾーマ(二根)という語で述べている。それらはまず四つの神々として語られ,火・水・土・空気と呼ばれ,また太陽・大地・天空・海といわれる。彼が四元素説の始めとされるのは,最初から性質を異にするものとしてとらえた点にある。四つのアルケー(始原)から,他のアルケーへ転化することを認めない。万物はこれら四つの混合と分離によって説明される。その組み合わせによって“みかけ”が変わる。混合と分離は「愛」と「憎」によってもたらされる。これらも“友愛”や、“愛欲”の神として,“争い”や“憎しみ”として語られる。この2者は動因としての引力であり斥力であるが,万物を離れてその混合と分離を支配しているのではなく,万物に内在しているもののごとくに語られる。彼の四元素説は,より正確には六元素説ということになる。