●役行者 えんのぎょうじゃ
アジア 日本 AD
修験道の開祖とされる役君小角のこと。大和葛木山に住み呪術力により著名であったが,弟子韓国連広足の讒言により699年(文武3)伊豆に流された。当時の世評は,小角は水汲み薪採りに鬼神を使役し,服従しないときは呪文を以て呪縛したという。本性は賀茂役君で,葛木山麓に蟠踞し賀茂大神を祭る賀茂氏の出身であった。弟子広足は中国伝来の道士法を能くし典薬頭になったから,小角の呪術の一部に病気治療や邪魅を払う術があったものとみられる。葛木山は一言主神の坐す霊山であるから,小角はこの神に仕え神の託宣をとりつぐシャーマンであるとする説もある。『霊異記』は孔雀明工呪を駆使した優婆塞であると記す。山岳を聖視し,そこでの修行が呪験力の源泉となるとの伝統的信仰に,道教・仏教による新しい呪法が結びつき,鬼神をもしのぐ小角の呪力が形成されたものとみられる。〔参考文献〕和歌森太郎『修験道史研究』1972復刻,平凡社
![]()