●塩鉄論 えんてつろん
アジア 中華人民共和国 AD
中国,前漢宣帝の時代に桓寛が撰した財政政策論争の記録書。10巻本と12巻本がある。武帝は対外積極策をとったため財政が窮迫したので,塩鉄専売・均輸・平準・カクコ※注1※など一連の財政策を実施した。これによって国庫は充実したが,民衆の不平がたかまったので,昭帝の前81年(始元6),各地より賢良・文学の士(約60人)を選んで都に集め,民間の不便とするところを上申させ,政府側の代表である丞相・御史大夫と論争させた。賢良・文学の士は儒家思想に立脚し,末利を追う新経済政策は民の心を卑しくするものとして批判し,廃止を主張したが,これに代わる理財策の提示はできなかった。これに対し,丞相・御史大夫は法家思想に立脚し,国策運営のためこれらの財政策が必須であることを主張し激しい論争が展開した。この論争の主題は新経済政策の存廃問題であったが,議論は当時の政治・財政・外交・学問などの分野にも及んでおり,前漢の政治・社会・経済の実態を知る上に貴重な資料を提供している。また賢良・文学と丞相・御史大夫との論争が生き生きとした劇的な形で展開していることは,当時の文学の一作品としても注目に値する。桓寛はこの論争の記録をまとめることの重要性に着目し,若干の潤色を加えつつ編集した。本書は宋代に板刻され,明代には数種の校訂本が現れており,江戸時代のわが国では,伊藤東涯が校訂加点本(1707,宝永4)を刊行した。
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