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●猿人類 えんじんるい

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 人類の最も古い段階の祖先で,普通はアウストラロピテクスをいう。1924年,南アフリカのヨハネスブルク,タウングの石灰岩鉱山で発見され,のちにタウング=ベビーと呼ばれた化石を研究したヨハネスブルク大学教授のダートは,顔面部の類人猿的特徴と,歯列が放物線状に並び,犬歯が小さいことなどのヒト的特徴を合わせもつこの化石が,ヒトとサルとの中間に位置するミッシングリング(失われた鎖)であると考え,Austoralopithecus africanusと命名した。しかし,当時,ネアンデルタール人や,ジャワのピテカントロプス,北京原人など,中期更新世の原人や旧人化石が知られていたのみであり,下部更新世のサルに似たこの化石が人類の祖先であるという主張は,学会からも,世間からも冷たく無視された。しかし,彼に協力したブルームの努力によって,その後多くの化石が発見され,形態学的研究が重ねられた結果,大後頭孔(脳頭蓋から脊髄の出る開口部)が頭蓋の真下にあり,骨盤や足の形態がヒトに近いことから,彼らが二足歩行者であったことが明らかにされ,人類の一員であることが広く理解されるにいたった。また1959年,東アフリカ,タンザニアのオルドヴァイ峡谷でのリーキー夫妻によるジンジャントロプス(のちにアウストラロピテクスの仲間に入れられた)の発見以来,タンザニア・ケニア・エチオピアの大地溝帯が入類化石の宝庫として注目され,ここで初期人類の進化を解明する重要な発見が相次いだ。日本からは,1967年に京都大学アフリカ類人猿調査隊が自然人類班を派遣し,また,1980年からは大阪大学東アフリカ調査隊が本格的な調査を進めており,1982年には,後期中新世(1,100万年前〜500万年前)のヒト科(Hominidae,ヒトと類人猿を含む分類群)動物の化石を発見した。アウストラロピテクス属には,およそ400万年前から現れるアファレンシス(A.afarensis)と,これより遅れて出現するアフリカヌス(A.africanus)とロブストゥス(A.robustus)の3種が知られている。より古い人類の祖先については,断片的な化石があるのみである。およそ150万年前に出現するホモ属(Homo,現生人類と旧人,原人を含んだ分類群で,アウストラロピテクス属とともにヒト科Hominidaeに入る)につながるものとして,最近ではアファレンシスが有力候補にあげられている。猿人類は,身長120cmから150cm程度,脳容積は450ccから700ccで,顎が大きく,二足歩行者である。当時の東アフリカは,獣の多いサバンナ環境であったと考えられ,人類のサバンナ起源説や狩猟民起源説の根拠にされている。しかし,彼らが森林に住まなかったと考えるべき根拠もなく,反論もある。人類はすでに250万年前に石器をつくっているし,それ以前に木の棒などを持ち歩いていた可能性も高い。猿人段階の人類は,その後の人類にむかってすでに大きな一歩を踏み出していたのである。

〔参考文献〕埴原和郎『人類進化学入門』1972,中公新書

リーキー・レウィン,寺田和夫訳『ヒトはどうして人間になったか』1981,岩波書店

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