●エレミア
AD
ユダヤの大預言者。弟子バルクによる彼の預言活動の記録と,彼自身の悲痛な告白録が『旧約聖書』の「エレミア書」のおもな内容である。彼の生きた時代,祖国ユダは,アッシリアとエジプトの軋礫(あつれき)に呻吟し,晩年は新バビロニアのネブカドネザル王により,神殿もろともにイェルサレムが破壊され,おもだった人々がバビロンに捕囚となる激動期であった。彼はヨシュア王の13年(前626ごろ)召命を受け活動を開始した。預言内容は,いたずらに形式化,儀式化した神殿礼拝を批判し,律法の内面化,すなわち,人格的な神への信頼と改悔を人々に求めた。祖国の安全も,ヤーヴェ(ヤハウェ)との契約と律法に対する真実以外にありえないと説いた。そして,今,祖国がそれをなしえていない以上,愛する祖国といえども一度神の審判をへなければならないとして,イェルサレム神殿と祖国の壊滅を預言した。審判をへて,恩寵による救いを確信する「新しい契約」の思想が彼の真面目である。