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●エスキモー=アリュート語族 エスキモー=アリュートごぞく

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 シベリア東端・アラスカ・カナダ・グリーンランドに分布するエキスモー語と,その分派でアリューシャン列島に分布するアリュート語から形成される語族。現在,10万人をこえる話し手がいる。エスキモー語とアリュート語が共通祖語をもつことは,19世紀の初めにラスムス=ラスク(Rasmus Rask)によって唱えられ,その後の研究によってその妥当性が証明された。両言語が分離した時期は,言語年代学の分析によって約4,000年前と推定されている。エスキモー=アリュート語の系統関係については,日本語やアイヌ語を含む旧大陸の諸言語との関係がここまでにしばしば論じられてきたが,まだ定説はない。

 現在,四つの国家にまたがる少数民族の言語であるエスキモー語は,もともと五つの−方言というよりは互いに通じ合わない−言語からなり,通常イヌピック(Inupik)語とユピック(Yupik)語に大別される。アリュート語とともに,一時外来者の言語(英語・ロシア語など)に圧迫されて急速に滅びゆくかにみえたが,近年民族意識の高揚とともに復活し,原地語による初・中等教育が各地で進展するにいたった。

 白人との接触以前には固有の文字はなかったが,すでにほとんどの地域でローマ字その他にもとづく文字が考案され,母語での読み書きが定着しつつある。両言語,とくにエキスモー語の最も顕著な構造的特徴は,一つの中心となる概念を表す語幹に,もっぱら接尾辞を幾重にもつけ加えることによって,多くの概念を一つの語に盛りこむことができる,いわゆる復統合語に属することである。たとえば“彼らがたやすくグリーンランド人になろうとしないこと”という程度の内容なら,たやすく1語に盛りこむことが可能である。構造的には特色のあるエスキモー=アリュート語であるが,発音の面ではわれわれ日本人にとってとくに習得が困難な言語ではない。

〔参考文献〕宮岡伯人『エスキモーの言語と文化』1978,弘文堂