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●エクアドル

南アメリカ エクアドル共和国 AD 

 エクアドル共和国 Republic of Ecuador 南アメリカ北西部に位置し,北はコロンビア,東・南はペルーに接し,西は太平洋に面している。国名はスペイン語で赤道を意味し,この国土が赤道直下にあることに由来する。面積28万4,000平方km,人口1,122万人(1996)。首都はキト。

【風土】国の中央部をアンデス山脈が2列に南北に走り,東部にはコトパクシ山(5,897m),カヤンベ山(5,790m)が,西部にはチンボラソ山(6,267m)など高い火山があり,赤道下にありながら氷河をもつ山が多い。両山脈間には2,000〜3,000mの山間盆地があり,海抜2,812mの首都キトをはじめ多くの都市が位置している。気候は標高と関係し,西海岸はサバンナ気候で,山間地では常春となり,東部では熱帯雨林気候となる。

【国民】アンデス山脈地域はインディオが多く,ヨーロッパ人移民は都市部を除き入植者が少ない。海岸地域には,黒人奴隷が入ったため複雑な人種構成となっている。政治・経済の権力を握るクレオール(白人)は約10%にすぎず,インディオとメスチゾがそれぞれ約40%を占め,黒人およびムラトが5%となっている。インディオは社会の最下層で,山地インディオはアメリカ資本による大農園の労働者,都市のインディオは貧しいスラム生活を送る日雇労働者,アマゾンのインディオは狩猟・放浪の生活をしている。メスチゾは商業活動に従事している。国民の大部分はカトリック教徒であるが,インディオには,土俗信仰やキリスト教と混交した独特の信仰もみられる。公用語はスペイン語であるが,インディオはケチュア語を用いる。

【歴史】15世紀までインカ帝国に属していたが,1532年フランシスコ=ピサロの率いるスペイン軍に侵入を受け,1534年インカ帝国は滅んだ。1563年にはキトに大行政府が設けられ,植民支配下に入った。19世紀に入り独立運動が高まり,シモン=ボリバルの補佐役のアントニオ=ホセ=デ=スークレは,1822年スペインを破り,グランコロンビア共和国の一員として独立した。1830年に脱退し共和国として独立した。1948年までは保守と自由両派が対立し,4年間の任期を全うした大統領は一人もなく,政治は不安定で,政権は62回にわたり交替した。1944年,ベラスコ=イバラは再選され,その後,1952,1960,1968年の3回にわたり当選し,エクアドル史上かつてない長期間政界の地位にあった。また,1967年から石油開発が始まり,1973年には石油産業の国有化に乗り出し,ガルフ・テキサコ両社に制限を加え,OPECにも加盟した。1979年にはロルドス大統領が当選し文民政治となった。

【文学・芸術】文学では,ラテンアメリカのなかで傑出した作家にJ.イカサ(1906〜)がいる。外交官で学者でもあるが,詩人としても知られる。リアリストであり,インディオの生活を描いた長編小説『ワシプンゴ』で世界的名声を得た。建築では,カニャール地方インガピルカには,15世紀インカ帝国の太陽の神殿が現存している。16世紀中期に建設されたフランチェスコ会の修道院は,ゴシックとムデハルの様式が混じり,南アメリカでは古いヨーロッパ建築物の一つである。このほか,サン=アグスティン聖堂サント=ドミンゴ聖堂も同様の様式で,F.ベセラが設計した。ルネサンス様式の建築は,国内最大の教会サン=フランシスコ聖堂(1532完成)である。ここには金銀製の美術品があり,宗教絵画や彫刻が随所にみられる。いずれもキトにあり,サン=フランシスコ聖堂サント=ドミンゴ聖堂には,併設の美術館がある。

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