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●映像文化 えいぞうぶんか

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 「映像」は,電気的に投影される視覚的イメージの総称で,映画・テレビ・ビデオなどの視覚的イメージを漠然とさしている。「映像文化」は「活字文化」「文字文化」の対概念として論じられることが多い。文字や活字と比較して映像は,歴史も浅く,機械に依存していて完全に個人の意志の所産でないといったことや,すぐに大衆化することから,より下等なものとして扱われてきたきらいがある。

【映画とテレビ】映像文化は,かつて映像文化の中心であった映画によってイメージを決定づけられた。映画は興行として商業的に成立したために,映像は芸術や教育的なものではなく,娯楽表現の手段としてみなされ,大衆文化の中心に位置していた。テレビの登場によって,映像文化の中心はテレビに移行したが,映像に関する認識にはあまり変化がなく,映像がより浅薄なものという印象を与えた部分もある。テレビの普及は他の媒体にも影響を与え,活字離れということが盛んに議論された。漫画・劇画の増加とともに,1980年代に入りテレビ世代あるいは“映像人間”を対象にしたグラビア主体の雑誌が増加したが,話しことばに近い文体で書かれており,テレビの表現形式に似ていた。

【映像の個人所有】かつては映像の作成や所有には高価な器材を必要としたので,映画ならび放送関係者でないと,映像を作成するということは不可能であった。ビデオ技術の発展によって,映像を個人で所有し作成できるようになった。ビデオソフトは,映画の新しい興行形態として定着しつつあるし,ホーム=ビデオは写真に代わる家庭の記録媒体になりつつある。映像のあり方もビデオによって変化した。これまでは,映像は継続して注視あるいは凝視するものであったが,映像が気軽にいつでも提示できるようになったため,映像を背景または環境の一部として楽しむ環境映像,またはBGV(バックグラウンド=ビジュアル)が登場した。また,映像提示の簡便さと印象の強さから,ディスプレイとしての映像が注目されている。

【映像の新技術】最近の立体映像の研究はめざましく,空間芸術としてホログラフィーが期待されている。ホログラフィーは,すでにディスプレイや装身具に使用されており,抽象的な映像芸術の作品も現れつつある。コンピュータの技術的進歩によって,コンピュータで映像を作成し,動かすことや,映像を立体的に表現することが可能になった。コンピュータ=グラフィクス(CG)は,現実にありえないことや,実際にはみることができないものを視覚的に表現できるところに特徴がある。本格的CGには大型コンピュータが必要であるが,パーソナル=コンピュータのグラフィクス機能も拡充されてきており,パーソナル=コンピュータで映像を作成して楽しんでいる者が増加している。映像は事前に決定された“始め”と“終わり”があって,直線的に進行するために,時間の芸術などといわれていたが,ビデオ技術の発展により,必要な映像を思いのままに抽出することができるようになった。とくにビデオディスクのランダム=アクセス機能によって,「ステップ=イン=ムービー」と呼ばれる,視聴者が映画のシチュエーションのなかに入っていけるものも可能になった。このようなインタラクティブな映像は,教育面でとくに注目されている。

メディア教育】映像を作成し理解するメディア教育が必要であるといわれてきており,映像を理解し作成する能力である「ビジュアル=リテラシー」の教育は,イギリスを中心としたヨーロッパで盛んである。わが国においても,映画の鑑賞教育の流れを組む映像教育の実践があり,それがメディア教育に移行していった。しかし,わが国では公教育のなかで映像に関する内容を,体系的に学習させる制度が確立されていない。