●海坊主 うみぼうず
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海に出現する妖径の一種で,海難坊主ともいう。一般には裸形の大坊主姿やまっ黒な大入道の形をとることが多く,なかには黒い大入道で目鼻口をそなえているものもある。しかし,全体としてはほかの妖怪のように具体的姿をとるものが少なく,伊豆大島では正月24日の夜に海から訪れる精霊をカイナンボシ(海難坊主)と呼んでいるように,ほかの海の妖怪や幽霊との区別が必ずしも明確ではない。また海坊主は荒天晴天に限らず出現するといわれ,水平線の彼方に現れる入道雲がその正体であるとも,大波がその本体であるとも考えられているが,鮫やイルカ,トドが化けたものなど,海坊主の正体に関しては各種の伝承が伝えられている。なかでも海難者の亡霊とする理解は,船幽霊・無縁仏などと結びつくもので注目される。いずれにしても,海上での幻覚・幻聴にもとづくものである。しかしこうした怪異に遭遇することは不吉の前兆ととらえられている。