●宇津保物語 うつぼものがたり
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源順の作といわれているが,確定はできない。村上天皇から一条天皇の時代の成立という説と鎌倉時代という説もあるが,前者がよかろう。題名は主人公仲忠が北山の大杉のうつぼに住んでいた所からの名称ともされている。一般に流布の刊本は1677年(延宝5)の絵入本があり,1806年(文化3)にその補刻本がある。清原俊蔭・その娘仲忠・その女の4代にわたる琴の名手の家の話。藤原正頼の娘,貴宮(あてのみや)をめぐる多くの人々の求婚の物語が主であり,そのあいだに,平安貴族社会の実相がみられるといえよう。また年中行事や風俗の描写が詳しい。巻序・原型・本文などに関しては,いまだ定説と称すべきものがない。室町時代以前の古写本を有してないことが,それら諸本の混乱を招く原因である。物語の主題に琴の芸術性・倫理性・宗教性があり,年中行事に季節感を織り込み,これらが物語の時間的展開を示している。〔参考文献〕『宇津保物語』日本古典文学大系,岩波書店
『宇津保物語』日本古典全書,朝日新聞社