●写し絵 うつしえ
AD
小箱に凸レンズをつけた風呂に,ガラス板に彩色した種板を差し込んで後方から燈油火の光を照らし,種板を動かして美濃紙を使った映写幕の映像が動くようにした仕掛け。夜間屋内で行った。いうならば現代の視聴覚機器の原初的なものといえる。享保年間(1801〜1814)江戸の染物絵師亀原熊吉が,当時長崎で興行していたオランダの見世物,エキロン鏡にヒントを得て考案したものといわれる。光源は,明治時代に入りランプ・電灯と変化した。簡単なものからしだいに大掛りとなり,風呂を5台も10台も1人で操作し,鳴物入りで人物などの動作を連続的に変化させ,歌舞伎風の口上や説教節を語り演じたという。日清・日露の戦いぶりを興行したころが最盛期でしだいに衰微した。現在は,調布郷土博物館や薫森貞治らによって資料が保存されるのみとなっている。なお江戸期には,厚紙を切り抜き裏表に絵をかき,手遣いで事件を運ぶ写し絵あそびもあった。