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●禹貢 うこう

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 『書経』の中の篇名。夏王朝の祖である禹が,帝?の命で大洪水を治め,国土を整備した際の記録とされている。内容は[1]中国を9州にわけた地誌,[2]山川の記述,[3]地方制度,[4]四方の極限,の4つに分かれ,いわば古代の地理書である。しかし記述された地域は中国本土の3分の2に及び,各地域の田賦や貢物も定められるなど,殷に先立つ時代の記述としてはあまりにも広く,また中央集権的に過ぎるため,夏王朝の事実を記したとは考えられない。「禹貢」と同様の内容は『呂氏春秋』や『周礼』にもみえ,戦国時代の列国対立の状況が反映されている。中国が分裂から統一にむかう時期に,理想の世界のあり方を地理的な観点から記し,伝説の英雄禹に仮託した書である。著者は明らかでないが,おそらく斉の稷下の学者,あるいは夏の子孫を称した魏の学者であろうといわれている。なお,この書にちなんで『禹貢』という歴史地理雑誌が1930年代(民国19〜28ごろ)の中国で発行され,近代的歴史学の発展に貢献した。