●雨月物語 うげつものがたり
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読本。5巻5冊。上田秋成作。1768年(明和5)成り,1776年(安永5)刊。怪異小説9編(「白峰」「菊花の約(ちぎり)」,「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「仏法僧」「吉備津(きびつ)の釜」「蛇性の婬」「青頭巾」「貧福論」)を収めている。わが国怪異小説史上最高の傑作,初期読本を代表する名作として定評がある。構想の卓抜,文体の優麗,内容の興趣すべて読書家の愛好するところ,近代の教科書に採用される箇所が多いことは特筆に値しよう。中でも「菊花の約」は有名で,約束守るべしとの教訓をも教える話。播州(ばんしゅう)加古の丈部左門(はせべさもん)は旅中に病で苦しんでいた出雲の赤穴宗右衛門を助け,義兄弟の約を結ぶ。赤穴は菊の節句九月九日の再会を約束をしていったん出雲に帰る。しかし,約束の日に現れたのは不幸にも幽閉された身を自刃して捨てた赤穴の亡霊であった。左門は志に感じて怨みを晴らしてやったという筋。「浅茅が宿」は,都に出てそのまま内乱のため帰国が叶わず,7年後ようやく帰国した主人公を待ちうけたのは妻の亡霊であったという話。