●浮世草子 うきよぞうし
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近世小説の一種。室町時代の御伽草子の流れを仮名草子が受け,さらに井原西鶴を中心として元禄時代におこった浮世草子が,内容その他の点で進展を遂げた。おもに上方で行われ,現実的な町人生活を描いた。世相ものと好色ものとに大別されるが,西鶴作品の部類分けから,普通には,経済生活を扱った町人物,遊里そのほか愛欲のことを扱った好色物,武家生活を扱った武家物,巷間の説話や伝奇に材をとり類型的に人間像の特徴を描こうとした気質物に分けられる。初め大坂に版元があったが,のちに京都の八文字屋が中心となったので,八文字屋本の名がよく知られている。西鶴作では『好色一代男』『好色一代女』『好色五人女』『日本永代蔵』『世間胸算用』,西沢一風に『風流今平家』『御前義経記』,錦文流に『棠大門屋敷』などがある。元禄期という文化隆盛時を,近松を中心とした浄瑠璃,芭蕉を中心とした俳諧,そのほか遊芸方面の発達と並んで,浮世草子が果たした文化史上の業績は大きい。