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●浮雲 うきぐも

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 二葉亭四迷の長編小説。第1編1887年(明治20),第2編1888年金港堂刊,第3編1889年7〜8月「都の花」に発表。全19回よりなるが,中絶とみられる。物語は,役所から帰途につく官員たちのなかに2人の青年を見出すところから始まる。免職になった内海文三と,逆に昇級した本田昇の2人だが,静岡県士族の子で,父を亡くし母が郷里で待つ文三は,下宿先の叔父園田孫兵衛の家で,免職のため叔母お政に冷たく扱われる。初め同情的だった従妹お勢も本田昇にひき寄せられていき,昇のように上司にへつらうこともできない文三は,誇り高い人間のゆえに深く苦しむが,どうすることもできない。お勢に代表されるような欧化主義的な人間,ひいては日本に対し,〈浮雲い〉(あぶない)と警告する一方,この明治20年代の現実に対し,無力な知識人の運命を描く,先駆的な近代小説として高く評価される。

〔参考文献〕中村光夫『二葉亭四迷伝』1958,講談社

十川信介『二葉亭四迷論』1971,筑摩書房