●ヴェデキント
ヨーロッパ 英国 AD1864 ハノーヴァー・ウィンザー朝
1864〜1918 ビューヒナーとのちの表現主義のドラマをつなぐ重要な位置を占めるドイツの劇作家・俳優。学業を中途で抛擲し,会社の宣伝部長,サーカス団の秘書など次々と職を変えつつ放埒な生活を送り,やがてキャバレー・演劇の世界にその本領をみいだす。初め自然主義の作家たちと交友があったが,個人的経緯もあり,やがてその徹底的敵対者となる。処女作『春の目覚め』(1891)は性に悩む少年少女を描きつつ,市民社会のえせ道徳,その権威主義を批判した作品で,いっけん自然主義的色彩を残しながらも場面の構成や素材の扱いははるかにそれを凌駕し,新しい演劇への展望を開いている。彼は生涯,野性とセックスとグロテスクを武器に資本主義社会の秩序と偽善に執拗な戦いを続ける。美しい野獣ルルを主人公とした『地霊』(1895),その続編『パンドラの匣』(1904),ドンキホーテ的詐欺師の無惨な失敗譚『カイト侯爵』(1901)などはいまだに演劇としての魅力を失わない。その強烈な個性はブレヒトに大きな感銘を与えた。