●ヴィシュヌ神 ヴイシュヌしん
ヨーロッパ オーストリア共和国 AD
ヒンドウー教主神の一つ。後代には宇宙の創造・維持・破壊をブラフマー(梵天),ヴィシュヌ,シヴァの3者で分掌する三神一体の観念も生じた。古くヴェーダ神話では,宇宙を3歩で歩く太陽神であるが,しかし,この神を唯一の宇宙神とし,世の神はその顕現に過ぎないとする考え方はすでにブラーフマナ文献にみえる。そしてこの神が「世の悪を打ちまかし,正義を回復するために地上に生れかわる」という化身(アヴァターラ)思想は西暦前に確立している。以降その数は増し,22の化身を説く文献もある。各地,各時代の聖仙,英雄などを最高者の化身とすることによってヴィシュヌ信仰のなかに融合したものである。今日では魚・亀・野猪・人獅子・倭人・パラシュラーマ,クリシュナ,ブッダ,カルチンの10の化身がいわれている。それぞれに神話・伝承・彫刻などがある。とくにクリシュナ神はヒンドゥー宗教,文学の中心的存在である。〔参考文献〕立川ほか『ヒンドゥーの神々』1981,せりか書房