●院本 いんぽん
アジア 中華人民共和国 AD
戯曲用語。金・元・明3朝に行院(妓女・楽人・伶人・乞者など)が用いた演劇脚本。その演劇形態は,脚色(役柄)および外題(脚本名)の2点において宋の雑劇と相似し,両者は一般に異名一体であるとみなされている。その内容面についてみれば,諧謔問答を主とした日本の「狂言」に類似するファルス(笑劇)といえる。また,院本は5人の役者(副浄・副本・引戯・末泥・孤装)により演じられることから,別名「五花爨(さん)弄」とも呼ばれる。しかし,脚本は1冊も現存せず『輟耕録』(明人,陶宗儀撰)に748篇の脚本名をとどめるのみである。〔参考文献〕田中謙二「院本考−その演劇理念の志向するもの」日本中国学会報 20,1963