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●インドのイスラーム教徒 インドのイスラームきょうと

アジア インド AD 

 1971年の全インド人口統計によれば,全インドのムスリム(イスラーム教徒)人口は約6,140万人(全人口比率11.2%)。その主要な地域分布はカシミール(州人口比率65.9%)・アッサム(24.0%)・西ベンガル(20.4%)・ケーララ(19.5%)・ウッタルプラデーシュ(15.5%)・ビハール(13.5%)・カルナータカ(10.6%)の順である。インド=ムスリムの特徴はカシミールを除いてほとんどがスンナ派に属することである。これはインドヘのイスラーム教の普及が主としてトルコ系ムスリムによって行われたことにもよろう。もっとも,外来宗教であったイスラーム教がインド社会に浸透した契機・要因は単純ではなく,地域・時代によって異なる。概してデリー=スルタン朝およびムガル帝国の支配期にヒンドゥー教徒のイスラーム化が進行したと考えられる。その場合,スーフィーイズムの修道・布教活動によって改宗した下層カーストを主とするヒンドゥーの民衆や,イスラーム支配体制のなかで高級官僚・軍人として重用されて改宗した上層ヒンドゥー=カーストの人々,また,デリー=サルタナット成立以前にアラビア海を渡って移住したといわれるケーララのモプラ集団など,多様なケースがある。歴史的にみればムスリムとヒンドゥーのあいだには,エリート・民衆のレヴェルを問わず,さまざまな思想・宗教・文化の交流・融合・折衷が進んでおり,その結果,独特なインド=イスラーム文化が形成された。今日,日本のマスコミはムスリム・ヒンドゥー間の“宗教戦争”“宗派対立”を強調する傾向があるが,その背景を分析すれば多くの場合,“宗教”が対立の主因ではないことが明らかになる。