●インダス=ガンジス流域平野 インダス=ガンジスりゅういきヘいや
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インド亜大陸北部の大河川であるインダス川およびガンジス川の流域に形成された広大な平野。インド・パキスタン・バングラデシュの重要な穀倉地帯であり,それらの国々における政治・経済の中心地となっている。歴史的にも早くから開けたところで,インドの古代文化の発祥地でもある。【インダス流域平野】インダス川は,その源をチベット西部のカイラス山地に発し,インド北西部およびパキスタンの領域を流れて,アラビア海に注ぐ。インダス川の東にはタール(大インド)砂漠が広がっている。インダス川とその多くの支流には多数のダムが造成され,灌漑水路が縦横に走っている。イギリス植民地時代には,灌漑施設の整備が進み,小麦・トウモロコシ・綿花などの多くの商品作物が栽培されるようになった。とくに,パキスタン領とインド領にまたがる上流のパンジャブ平原は,乾燥地域であるが,灌漑水路網が発達し,小麦と綿花の生産が多く,重要な農業地域となっている。インダス流域平野は,ナイル川や黄河と同様に,世界で最も早く開けた地域の一つであり,モヘンジョ=ダロやハラッパーなど,インダス文明の遺跡群が多くみられる。前326年にアレキサンダー大王が侵攻して以来,インダス川流域は,たびたび戦場となり,政治的に不安定な地域であった。文化的にも,さまざまな文化が混在する地域である。インダス川は,流量が豊富であり,河口より約190kmのぼったハイデラバードまでは,小型船の運行が可能である。インダス流域平野で産出される小麦・綿花・皮革・羊毛などの産物は,アラビア海に臨む,パキスタン最大の都市カラチの港から輸出される。
【ガンジス流域平野】ヒンディー語で「聖なる川」を意味するガンガとも呼ばれるガンジス川は,ヒマラヤに源を発し,インド北部とバングラデシュを通過し,ベンガル湾に注ぐ。ガンジス川は,下流部において,チベット高原に源を発し,アッサム地方を通るブラマプトラ川と合流し,大三角州を形成する。河口付近では,幅約350kmに及ぶガンジス=デルタとなる。インドの西ベンガルとバングラデシュにひろがるガンジス=デルタは,肥沃な農耕地であり,稲作やジュート(黄麻)の栽培が盛んである。また,土地が低平なため,クリークが網目状に形成され,耕地は堤防によって囲まれている。ガンジス流域平野の下流部は,洪水多発地帯である。とくに南西季節風が卓越する6月から10月にかけて,降水量が多く,またベンガル湾で発生するサイクローンは,大雨をもたらし,しばしば農業に大きな被害を与える。雨季には,広大な地域が水没するため,水運が重要な交通手段となる。ヒマラヤ山脈とデカン高原のあいだにはさまれ,ガンジス川の中流にひろがる沖積平野は,ヒンドスタン平野と呼ばれる。その面積は70万平方kmにも及ぶ。ガンジス川によって運ばれた沖積土は,地味が肥えている。ヒンドスタン平野では,灌漑水路網が発達し,インドの穀倉地帯の一つとなっている。主要な農産物は,米・小麦・トウモロコシなど。ガンジス流域平野は,農業が発達しているため,人口密度が高く,大都市が発達している。ガンジス川の主要な支流であるジャムナ川沿岸には,インドの首都ニュー=デリー,ムガール王朝の首都であり,タージ=マハールで有名なアグラなどが位置している。ガンジス川河口から約1,200km上流にある宗教都市バラナシ(ベナレス)は,ヒンドゥー教の聖地として知られている。またガンジス=デルタには,バングラデシュの首都ダッカやカルカッタがある。
〔参考文献〕織田武雄編『南アジア』1978,朝倉書店