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●印綬 いんじゅ

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 綬(ジュ)は組紐いんの紐と辞典は記す。印綬をおびるということばは官職に任命されるという意味である。中国の漢代の人蔡沢の伝に「黄金の印を懐中にし,紫綬を腰にむすぶ」とある。漢代の高官の公的風俗を描写したものである。彼は漢皇帝から金印を賜与されたので金印に付属する紫色の綬を自分の腰に幾重にも巻き付け結んだというのである。「印綬を帯す」に対して,解綬は辞職の意である。現職に在任中の姿は上記のように常時印綬を身に着用している。漢代の綬は長さは1丈2尺,広さ3尺であり(唐尺の1尺は8寸3厘),長さは12カ月に法(のっと)り,幅は天地人に法るとした。1官職に官印は1個であるから後任者に印綬を渡す形式である。印綬の色別は服制の衣冠の色別と軌を一にした。金印紫綬銀印青綬銅印黒綬と区別する。漢帝国の外臣として漢皇帝に臣従する異民族国家の君主には封爵授官と印綬賜与がある。印綬のことは文献としては推察できても遺品とか,図様はなく,ことばとしてのみ後世に伝承した。漢代の印綬制は,日本には制度上の伝来はまったくなかった。印綬のことは漢代公印制と密接に関係することを付記する。

〔参考文献〕荻野三七彦『印章』1966,吉川弘文館

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