●インカの医学 インカのいがく
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病はスパイと呼ばれる悪霊などが原因とされる。あらゆる病をインカの地の外へ追い出すシトゥアという儀礼も知られており,病は単に個人の問題のみではなかった。治療者は同病の患者より秘儀を学んだり,夢を見て占ったり,個人的に結びつきの強い神霊に願をかけたりさまざまである。なかでもハンピカマヨは薬師として治療にあたり,著名である。治療はその原因となる悪霊を追い払うための供犠を中心として行われ,失敗すると治療者は殺人者とみなされるなど,危険も多かった。治療には霊との接触をするため,幻覚剤も使用され,患者にはコカインをはじめ何種類かの麻酔剤も使われた。キニーネなど薬草の知識も多くあったが,大部分の植物学的同定は困難である。放血・マッサージなども知られていたらしく,外科ではとくにミイラの頭骸骨に見られる,頭骸穿孔が有名であるが,これが施された理由が,治療にあるのか宗教上のものなのかはわかっていない。