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●芋類 いもるい

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 一般に,貯蔵栄養を根や根茎に豊富に含む植物をいう。その栄養分は主としてでんぷんであり,カロリー源として価値が高い。

【イモ類の栽培化】栽培植物として利用されるイモ類は,タロイモ,ヤムイモ,サツマイモ,ジャガイモ,キャッサパ(マニオク),コンニャクイモ,オカなど世界各地に多くの種類がある。そのなかでも広範な地域に広がって栽培植物として重要なものとなったのは,タロイモ,ヤムイモ,ジャガイモ,キャッサバ,サツマイモである。ジャガイモ以外はすべて熱帯で栽培化された。これらのイモの大部分は野生の状態では有毒であったり,アクが強くて食べにくい味のものであったのが改良されてできたと考えられる。タロイモはサトイモやそれに形態的に似ているテンナンショウ(天南星)科のイモを含む1群のイモ類の総称である。サトイモは東南アジアで栽培化されたが,タロイモのなかには熱帯アメリカで栽培化されたヤウティアの種類もある。一方,ヤムイモは日本のヤマノイモの類であるが,異なった種類のものが東南アジア,西アフリカ,熱帯アメリカで栽培化された。サツマイモ,ジャガイモ,キャッサバの3種のイモはアメリカ大陸で栽培化された。イモ類は,そのまま焼いたり煮たりして食べられるほか,水さらしをして得たでんぷんをねって焼いたり,水とまぜて煮る(コナガユ)などにして食べる。また,西アフリカではゆでたヤムイモを,きねでついて食べる。イモ類からは酒もつくられる。これらは穀類と同様,いわば主食として利用されることが多い。

【イモ類と根栽農耕文化】世界の農耕文化のうちでイモ類を主要な作物とする根栽農耕文化は,旧世界と新世界とで発展をとげた。旧世界のそれは束南アジアからポリネシアにかけて広がり,タロイモとヤムイモとが主要な作物となっている。この地域ではウコン,コンニャクイモなども栽培化された。一方,新世界の根栽農耕文化キャッサバ,サツマイモ,ジャガイモを主要な作物とするが,これらはそれぞれ異なった農耕文化を形成した。キャッサバを主力とするものはアジアの根栽農耕文化と似ている。これは南米の北部,カリブ海付近で発展した熱帯低地型の根栽農耕文化である。ここではヤウティヤやヤムイモの1種も栽培化された。サツマイモを主力とする農耕文化はアメリカ大陸の暖温帯で形成されたが,サツマイモ以外に有力な作物を開発しなかった。一方,ジャガイモはアンデス高地で栽培化された。アンデス高地根栽農耕文化はオカ,アヌウなどのイモ類も栽培化したが,これらはアンデス高地以外には広がらなかった。イモ類は高カロリーの作物であるのに加えて生産性も高く,狩猟採集経済の時代から,よく利用されたであろうと考えられる。栽培するための道具も掘り棒があれば十分である。調理にもうつわを必要としない。ポリネシアの伝統的な調理法である石焼き料理はそのことをよく示している。これらのことから,根栽農耕文化はかなり古くから開発された農耕文化であろうと考えられている。また,野性の段階で有毒であったものが多かったため根栽農耕文化は水さらしなどの毒抜きの技術をともなっている。熱帯で栽培化されたイモ類は水を使って毒抜きをするがジャガイモの毒抜きは冷凍乾燥によって行われた。これは貯蔵,輸送に不向きだとされるイモ類の欠点を解消した。アンデス文明の背景に余剰の蓄積ができた根栽農耕文化の存在を認めることができる。一方,日本でもイモ類を作物の主体と考えるような伝承が伝えられており,日本の農耕文化にイモ類が果たした役割についても研究が進められている。

〔参考文献〕中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』1966,岩波書店

塩谷格『作物のなかの歴史』1977,法政大学出版局

坪井洋文『イモと日本人』1980,未来社

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