●イフガオ族 イフガオぞく
アジア フィリピン共和国 AD
フィリピン,ルソン島の北部山岳地帯に居住し,棚田式水田耕作を営むプロト-マレー系種族。棚田は海抜1,500mにも及ぶ山の傾斜面に造られ,その規模の大きさから,世界の七不思議に匹敵する大造営物といわれている。イフガオ族は今世紀初頭,キリスト教文化に代表される文明社会との接触をみるまでの長いあいだ,外界と隔絶した,彼ら独自の民俗文化のなかで暮してきた。周辺の諸種族から恐れられていた首狩りの風習も,その伝統的慣習の一つであるが,近年,キリスト教宣教師の伝導活動や中央政府の統合政策などによって,首狩りの風習はみられなくなっている。水稲耕作民であるイフガオ族の生活は,水稲耕作に関連した農耕儀礼によって,年間の行事がうめつくされているが,その精神的背景には,自然界と密着した生きかたのなかから生まれたアニミズム(精霊信仰)が存在している。