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●犬神 いぬがみ

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 いわゆる憑きものの一種。犬神を飼育していると伝えられる家を犬神筋・犬神統・犬神もちなどと呼び,代々筋を引くといって忌嫌われた。犬神の正体は犬の霊とされ,中国伝来の犬蠱(けんこ)の俗信と日本古来の動物霊崇拝信仰,あるいは家の守護神信仰が習合し民間祈祷者たちによってゆがめられて発展した。古来この俗信が盛んだったのは四国一帯・中国地方の西半分・九州東部。犬神もちが他者にねたみ,憎悪の念などを抱くと直ちにその者に取り憑き,取り憑かれた者は精神錯乱となり異常な症状となる。祈祷師を招き調伏が効を奏すると病人は正常に復するが,犬神に憑かれる者は資質的に神経質で虚弱者が多いとされた。犬神もちの娘が一般の家に嫁ぐと生まれる子供が犬神もちになる。一般の娘が犬神もちに嫁ぐと犬神筋になるなどといい,結婚に際し強い排除と差別が加えられた。

〔参考文献〕石塚尊俊『日本の憑きもの』1959,未来社