●稲魂 いなだま
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稲霊の漢字をあてることもあり,イナタマ・イネタマ・イニヤタマなどとも発音される。一般的には,いなづま・いなびかりをさすが,古くは,そこに新しい年を支配する威力が宿っていると考えられていた。しかし,いなづまは,あくまで稲の神の一表現と考える方がよく,稲魂とは,農業生産そのものを支配する「たましい」といってよい。稲魂は,秋祭りの終了後,ただちに付着し,新しい年を支配すると考えられた。つまり,稲魂が付着するための儀式であった。これが,新嘗祭の古形と考えられ,古くは陰暦11月の卯月に行われた。そこでは,1年のあいだ,稲の実りを保障してくれた神を招き,宴会を催す。ここまでが「秋祭り」で,それにひきつづいて,ただちに「春の祭り」が催される。これが,稲魂の付着を意味するわけである。〔参考文献〕柳田国男『定本柳田國男集』31,1970,筑摩書房
折口信夫『折口信夫全集』20,1976,中央公論社