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●稲置 いなぎ

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 大和朝廷が設置した官職の一つ。国造や県主と併記され,比較的小さい地域の地方豪族に与えられたらしい。文献の上では,『隋書東夷伝・倭国の部に〈八十戸ごとに一伊尼冀(いなき)を置き,十伊尼冀は一軍尼(くに)(国造)に属す〉とあり,また『日本書紀』成務天皇5年の案に〈県と邑に稲置を置く〉とある。稲置の分布は畿内およびその周辺に多くみられ,のちの郷名となったのが主である。また,県主のように各地に広く設けられたものではない。推定されるところでは,屯倉などの穀類を収納したり,管理したりすることが稲置の役割であった。世襲であったため,のちには県主や国造と同様に姓(かばね)としても用いられるようになり,天武天皇八色の姓の最下位に置かれた。以前稲置の職にあったものの子孫が,稲置を氏の名として,因支首(いなぎおびと)などと称することもあった。また,稲置部は稲置の私有する部民であると推定される。