●イドリーシー
AD1100
1100ごろ〜65ごろ アラブの地理学者。北アフリカのセウタで生まれ,スペインのコルドバで学んだといわれている。彼はシチリア島を支配していたノルマン人の王,ルッジェロ2世の宮廷に仕えた。この王の命令で,彼は1154年に,銀の板に描いた平面球形図をつくり,その説明書として『世界の遍歴を好む者の楽しみ』を著わした。この作品は,一般には,この王の名にちなみ,『ルッジェロの書』と呼ばれる。この書には世界地図がついており,当時のイスラーム世界・キリスト教世界の双方が描かれている。彼の活動は,当時のシチリア島におけるイスラーム文化とキリスト教文化の交流を物語るものとして興味深い。彼の地理学は,一方では後世のアラブの地理学者に継承されたし,他方では,彼の作品はラテン語に翻訳されて,以後のキリスト教世界の地理学の発展にも影響を与えた。