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●異端 いたん

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 ある教団内部において正統信仰とは異なる立場をとる教説や宗派に対する正統派側からの排他的呼称。語原のギリシア語は,一定の見解に固執すること,またそうする人々を意味した。異端かどうかは宗教会議や教団中枢機関が決定し,宗教裁判による追放・流刑・火あぶり刑などを伴った。また異端は,教団内の党派的対立を表し,教団が世俗的政治と結合した場合,その対立は政治的緊張をひきおこした。ヨーロッパでは,とくにカトリック教会が正統とする信仰・教義に異説を唱えるキリスト教徒をさした。キリスト教が教義的・組織的に確立していく初期の段階では,ユダヤ教やグノーシス主義に偏向した異端,聖書を軽視したマルキオン派モンタノス派などが現れた。キリスト教のローマ帝国国教化後は,異端宣告を受けた非国教的キリスト教徒はローマ官憲から弾圧を受けたが,彼らがすべて非聖書的・非キリスト教的であったわけではない。4世紀ニケーア公会議で,キリストの人間性を強調,父なる神と子なるキリストとの異質性を主張したアリウス派は,アタナシウスらの正統派に論破され異端とされたが,その後もゲルマン民族へのキリスト教の浸透に大きな影響を及ぼした。教会組織が確立した中世盛期には,世俗との結合に起因する悪弊などが教会内部に生じたが,それらに対する修道院的改革運動やその他の宗教的刷新運動がおこった。そのなかには既存の教会体制・司祭組織や正統教義を否定して,カトリック教会から異端とされたカタリ派アルビジョワ派ワルド派などがあった。彼らは現世を罪悪視し,財産を放棄し,禁欲主義を実践したが,その教義的・行動的過激性ゆえに既存正統派から断罪される場合と,彼らの無視できないほど大きい政治的・社会的勢力のゆえに弾圧される場合があった。中世末期イギリスのウィクリフ,ベーメンのフスらは異端とされたが,影響力をもちつづけ,ルターによる宗教改革運動へとつながる。