●伊勢物語 いせものがたり
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平安前期の成立。作者未詳。別称『在五が物語』など。歌物語で,在原業平(ありわらのなりひら)と思われる主人公の一代記風の構成をもっている。業平は平城天皇皇子阿保親王の5男で,美男にして,奔放な精神のもち主であったらしい。『伊勢物語』は,この業平のイメージを基本に,しだいに形成をとげた作品である。125段からなり,二条后との恋,東下り,狩の使い,惟喬(これたか)親王との交情などを描きながら,恋愛の苦悩,人事のはかなさを,叙述してゆく。その文章は,仮名散文の先駆といえるが,詞書(ことばがき)の単なる肥大化ではなく,和歌とときには拮抗したりしながら展開する,独自の表現世界を,構築している。歌物語のなかの第1の作品で,『源氏物語』の作者をはじめ,多くの人々から愛好され,歌人にとっても,必読の書とされていた。近世にいたって,井原西鶴の『好色一代男』などに,その影響をみいだすことも可能である。