●泉鏡花 いずみきょうか
アジア 日本 AD1873 明治時代
1873〜1939(明治6〜昭和14)小説家。本名鏡太郎。金沢生まれ。父は彫金師,母は能楽師の家系で彼の文学に影響を与えている。尾崎紅葉に師事し,処女作『冠弥左衛門』(1893)以降,『夜行巡査』『外科室』(1895)で社会の矛盾をつく観念小説の代表作家となる。『照葉狂言』(1896)・『湯島詣』(1899)で女性への思慕・純愛を描き,『高野聖』(1900)で神秘的ロマンの境地を表し,上田秋成以来の成功となる。のち,明治の水滸伝(すいこでん)といわれる『風流線』(1906),封建的な家族制度・婚姻制度に反抗する『婦系図』(1907)を発表し,『歌行燈』(1910)で芸道の威厳を唱って,明治30年代の,紅葉・露伴以後の文壇の最高峰となったが,自然主義勃興により不遇となる。大正中期以降,独自の世界が再評価された。自由な空想を自在な文章で表現し,謡曲・浄瑠璃などの江戸文芸の伝統的な要素を受け継いだ,最後の物語作家といわれている。1937年,芸術院会員。